2014年12月19日金曜日

HD-SDIレコーダー「Panasonic AG-HMR10A」の導入


Pnanasonic製HD-SDIレコーダー「AG-HMR10A」。
HD-SDIの信号をAVCHD規格に圧縮してSDカードに記録するメモリーカードレコーダーだ。

~AG-HMR10Aを選定するに至った流れ~
現在、テープやディスクではなく半導体メモリ媒体にHD動画を記録するカメラ取り付け用レコーダーが各社から販売されている。
有名所は、Blackmagic Design社の HyperDeck Shuttle2や、ATOMOS社のATOMOS samuraiといったポータブル系のものだ。
どれもHD-SDI信号をSSDに記録する点は同じだが、それぞれ機能が異なるので、導入にあたっては機種選定に迷うところ。
今回の選定条件としては、カメラのメインの収録機に使用するため、とにかく収録の安定性を第一優先とすることにした。
そのため、
・カメラからのRecトリガー検知による確実なRecリモート
・Recタリー信号のカメラへのリターン
・メディア残量警告
は必須条件である。
では、先に上げた有名所2機種の長短所を見てみる。

◆Blackmagic Design HyperDeck Shuttle2
[○長所]

・価格が安い(4万円弱)
・多彩な収録フォーマット(非圧縮QuickTime/Apple ProRes 422(HQ)/Avid DNxHD MXF)
・HDMI/HD-SDI相互コンバータとしても利用可能
・HD-SDI重畳のRecトリガー検知
[×短所]
・モニタが無い
・HD-SDI端子が標準BNCではなくDIN端子
・単体ではメディア残量が不明

◆ATOMOS samurai
[○長所]

・IPS高精細モニタ搭載
・簡易波形モニタ機能
・収録フォーマット(Apple ProRes 422(HQ)/Avid DNxHD)
・HD-SDI重畳のRecトリガー検知およびLANCリモートが可能
[×短所]
・操作がタッチパネル
・価格約15万円

HyperDeck Shuttle2は価格面が非常に魅力的だが、現場での再生確認には別途モニタが必要になる。
また、メディア残量が表示され無いのが致命的なので、メイン収録機としては少し不安だ。
ATOMOS samuraiは価格を除いて文句なしの性能だが、Recタリーが画面上に赤い枠が点灯するだけなので、外部出力が容易ではない。
HyperDeck Shuttle2もタリーアウトはないが、操作ボタンにRecLEDがあるので、ここから信号を取り出すことは出来そうだと考えていた。
ATOMOS samuraiの場合は…フォトトランジスタを画面枠につけて赤枠タリーを取得する方法も考えたが、やはり安定性に欠ける。

以上のことから、2機種とも購入に踏み切れず、しばらく悩むこととなった。

何週間か経った後、ふとWebを見ていたらPanasonicのAVCHDレコーダー「AG-HMR10A」が目に留まる。
最初は「記録ビットレート20MbpsちょっとのAVCHDなんて、今やProResではプロキシ扱いだなぁ」と思っていた。
ところが、Web上の評価を見てみると、AG-HMR10AのH.264内部処理が上手い所為か、1440x1080 MPEG2のHDVより画質はいいらしい。
業務用としてまだまだ現役のHDVより画質が良いのであれば十分だ。
それに、AG-HMR10Aは記録メディアがSDカードである。
SSDよりメディアが安く済む上、アーカイブの容量も食わないのでランニングコストもかなり削減できる。
また、もともとクロマキーしたりカラコレもする気はない。
これをしなければ可逆圧縮の規格の必要性はあまり感じない事に気がついてしまった。

AG-HMR10Aの機能をまとめてみると…
[○長所]
・モニタ搭載
・HD-SDI→HDMI一方コンバータとしても利用可能
・HD-SDI重畳のRecトリガー検知
・簡易波形モニタ機能
・記録メディアがSDカード
[×短所]
・定価30万円(実売約17万円)
・記録フォーマットがAVCHDのみ(H.264 1920x1080 4:2:0)
・音声記録がDolby Digital

Recタリーは本体のRecボタン上にLEDがついているので、そこから得ることが出来そうだ。
また、このRecタリーはメディア残量が1分を切ると点滅してくれる。
液晶を消した状態での運用も出来るようなので、タリーさえどうにかなれば省エネ運転も実現できそうだ。

結論:AG-HMR10Aをとりあえず買う。
AVCHDの画質に満足できなかったらHyperDeck Shuttle2を買い足し、カメラとAG-HMR10Aの間に挟む。


届いたAG-HMR10Aを早速チェック。
起動に数秒かかるが、動作は流石業務機といったところで、操作レスポンスはかなり良い。
もちろん、安心の日本製。


シフトキーを使って、波形モニタの表示や液晶のON/OFFが行える。
波形が狂ってるのは室内で光源がバラバラなため。ちゃんとした測定環境が欲しい。


ベクトルスコープも表示可能。
なお、この波形機能は録画モードのみ有効の様で、再生時には表示されない。


さて、動作確認もそこそこに、リモート機能を増強するためにAG-HMR10Aはバラバラに分解。
もともとΦ2.5のリモートジャックがついているのだが、信号規格がLANCではなさそうなので、リモート端子を操作面のボタンに直結させる改造を行う。
HD-SDIの処理基板にはXilinxのFPGA「Virtex-5」が載っていた。


電源もカメラから取るため、バッテリー端子からDCケーブルを延長。
先はヒロセの4pinコネクタ HR10A7P4Pをつけて、空き端子の2pinでDC7.2Vを供給。
なお、AG-HMR10Aは電源を供給しただけでは電源がONにならないので、Powerスイッチ端子も取り出してこのケーブルの空き線にアサイン。
各種信号変換のためにカメラに内蔵したPICマイコンから、フォトカプラ経由でカメラの電源と連動してPowerスイッチが自動でONになるようにした。
なお電源ONの制御のタイミングは、電源供給をした300ms後に1500msボタンを短絡。

組み立てなおしたら、案の定ネジが何本か余る…
とりあえず、動作確認はおk。
早速外に持ち出して、映像を確認してみよう。
以下、動画からの無加工キャプチャ。


テレビで見る分には画質的には十分。
気になっていたビットレートも、早いパンをしても殆ど画像は乱れない。
優秀なエンコーダーを積んでいるのだろう。
実戦投入までに耐久テスト等色々行っていきたいと思う。

2 件のコメント:

  1. 質問します.会話の下りで「AG-HMR10Aは電源を供給しただけでは電源がONにならないので、Powerスイッチ端子・・・」を上部の電源スイッチに接続して,コンセント(バッテリー)を挿入後にスイッチを押さない状態で起動させたいのですが・・・・その方法をお教え頂ければ幸なのですが・・・ご教授頂ければ幸です,

    返信削除
    返信
    1. ご質問ありがとうございます。
      まず、前提として以下の点をご留意下さい。

      ・本改造により、レコーダーのメーカー保証・サポートは一切受けられなくなります。
      ・電子工作およびマイコンの知識が必要です。
      ・本改造を行ったことによる機器の破損や動作保証については、当サイトでは一切責任は負いません。

      具体的な改造内容ですが、
      1.まず「AG-HMR10A」をリバースエンジニアリングし、電源スイッチの接点を取り出します。(分解必須。この時点でメーカ保証はなくなります)
      2.スイッチの接点にフォトカプラを繋ぎます。
      3.マイコン(PIC/AVR等)でフォトカプラを駆動させることにより、「AG-HMR10A」の電源SWを制御できるようにします。
      4.マイコンのプログラムで、電源投入300ms後に1500msフォトカプラを駆動させるようにします。

      以上で、電源供給と同時に「AG-HMR10A」の電源が自動で入るようになります。
      電子工作およびマイコンについての詳しい情報は、他サイト様をご参照下さい。

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